応募の概要
「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向け、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、長期に渡り、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する「グリーンイノベーション基金事業」の一環として、NEDOは「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」に係る技術開発事業を実施する予定です。
本事業では、農林水産業に期待されるCO₂等の吸収・固定技術を中心に、将来の成長産業の創出につながるインパクトの大きな課題を対象として、下記テーマに取り組みます。
【研究開発項目1】高機能バイオ炭等の供給・利用技術の確立
研究開発内容〔1〕高機能バイオ炭等の開発
水稲(水田作)とダイズ・野菜類(畑作)を対象に、農作物の収量が概ね2割程度向上する有用微生物資材を3資材以上開発し、バイオ炭等との同時施用により、実際の農作物への肥料供給効果や生育促進効果等を確認・実証する。
研究開発内容〔2〕高機能バイオ炭等によるCO2固定効果の実証・評価等
農地1ha 当たり年間3 トン程度(バイオ炭量換算で1.9 トン相当)のCO₂を持続的に農地炭素貯留できる営農技術等をLCAも含めて確立する。また、高機能バイオ炭等の施用など、農地炭素貯留の取組により生産された農産物の「環境価値」を客観的に評価する手法を確立する。
【研究開発項目2】高層建築物等の木造化に資する等方性大断面部材の開発
研究開発内容〔1〕等方性大断面部材の製造要素技術の開発
従来とは異なる層構成を持つ合板の試作を重ね、国産材を原料する支点間距離8m、耐火2 時間の等方性大断面部材を開発する。また、その等方性大断面部材を商用生産するため、厚剥き可能なロータリーレース製造、短時間乾燥、選別、面内接着、積層接着等の工程を効率的に実行するための要素技術開発を行う。
研究開発内容〔2〕等方性大断面部材の連続製造技術の確立
部材大型化に伴う技術開発を要する工程について製造装置を開発し、実証製造ラインを構築することで、構造性能とのバランスがとれた等方性大断面部材を10 万円/m3 以内で製造する技術を確立する。
研究開発内容〔3〕等方性大断面部材の規格化・告示化のための性能評価と設計法の提案
研究開発内容〔1〕と〔2〕で試作した部材の性能評価を行い、技術的助言をフィードバックする。また、等方性大断面部材を用いた建築物について、建築基準法告示を目指した一般的設計法の提案や、設計用の性能データベースの構築を行う。
【研究開発項目3】ブルーカーボンを推進するための海藻バンク整備技術の開発
対象となる海藻の生長を促進するための栄養塩を溶出し、10~18N/mm2の強度を有する基盤ブロックと、漁港水域内で育成した大量の海藻苗を効率的に移植できるよう、従来の1/4程度(5kg程度)に軽量化した海藻移植用カートリッジを開発し、全国複数の海域で実証試験を行い、広域な藻場の造成と回復を実現する海藻供給システムを構築する。
応募の対象者
応募資格のある提案者は、次の(ⅰ)~(ⅳ)までの条件、「研究開発・社会実装計画」に示された条件を満たす、単独又は複数で受託・交付を希望する企業等とします。
i. 2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて研究開発の成果を着実に社会実装へつなげられるよう、企業等の経営者(原則、代表取締役、代表執行役その他代表権を有する者)が長期的な経営課題として取り組むことへのコミットメントを明らかにした、長期的な事業戦略ビジョンを提出すること。
ii. プロジェクトの実施場所及びプロジェクト後の成果活用場所に国内を含むこと。我が国の産業競争力強化の観点から、我が国技術の国際競争力や海外における類似の研究開発動向を分析した上で、国内経済への波及効果が期待される場合には、海外の先端技術の取り込みや国際共同研究・実証を実施することは可能。
iii. プロジェクトの主たる実施者が、企業等、収益事業の担い手であること。(企業等の支出が過半を占める必要がある。)
iv. NEDOが指定する情報管理体制を有していること。(委託事業のみ)