応募の概要
(1)背景
分子標的薬である抗体医薬品等のバイオ医薬品は2000年以降目覚ましい発展を遂げ、2016年に世界市場での医薬品売上高上位を占めるまでに成長し、2020年には世界の医療用医薬品売上の上位10品目の半数をバイオ医薬品が占めており、今後もその普及が見込まれます。一方で、既存の高額な抗体医薬品等に置き換わる作用をもつ低分子~中分子医薬品等の研究開発が期待され、さらには、主要な抗体医薬品の特許切れを迎えて、バイオシミラーの開発と急速な普及も期待をされています。これらの点から医薬品開発の効率化によるコスト低減や安全性予測の向上を目的として、バイオ医薬品(バイオシミラーを含む)のデザインや低~中分子医薬品等に関する新たな基盤技術の開発が重要となってきています。
(2)目的
本公募課題では、近年開発が加速している核酸・ペプチドなどの中分子や、次世代型抗体医薬品などの高分子を含む新規モダリティ医薬品について、臨床外挿性の高い医薬品の開発候補やそのプロトタイプを加速的に創製するための基盤技術の創出、さらには、先例のない医薬品形態を発案および創製するための基盤技術の創出を目指します。
例えば、核酸医薬に関しては、配列設計の知見やノウハウが蓄積されている従来型アンチセンスやノックダウン型の発現抑制剤にとどまらず、スプライシング異常などの先行品が少ない病因標的へ作用する核酸医薬や、遺伝子発現促進剤等を対象とした、配列や構造の合理的で効率的なデザイン技法等が想定されます。先例のない医薬品形態としては、抗体薬物複合体を先行例とする、既存の2種以上の異なるモダリティを組み合わせたハイブリッド医薬品の構築法等が想定されます。ただしこれらは一例であり、公募対象を限定するものではありません。
(3)研究費の規模等
1)研究費の規模:1 課題あたり年間20,000千円(上限)(間接経費を含まず)
2)研究実施期間:最長3年 (令和5年度~令和7年度)
3)新規採択課題数:0~2課題程度
(4)応募条件等
1)事業趣旨及び公募課題の目的と合致すること。
2)合理性・効率性・速度・コスト低減等に優れたモダリティ配列・構造設計や、画期的な医薬品形態の実現等、本公募課題での提案としての特徴付けが明確であること。
3)新しい視点に基づいた先進的な研究開発課題の提案を求めますので、従来・先行技術が十分でない点を明示し、独自の着想や独創的な創薬デザイン技術について、従来技術と対比した上での先進性や差異化点を示し、提案すること。
4)対象とする疾患や疾患群を限定する必要はありませんが、提案する創薬デザイン技術の特性や有益性を裏付ける方法として、想定する疾患領域での課題と解決策を提示すること。さらに、候補化合物の有用性を評価する生物学的評価方法について、臨床外挿性も踏まえた妥当性も含めて明示すること。
5)研究終了後に新たな研究開発課題提案に展開することも含めて、将来の革新的医薬品の研究開発に実装するための具体的な道筋を明らかにすること。
6)本公募課題の目的を実現するため、研究開発提案者とは異なる分野の研究開発分担者あるいは研究開発協力者を設けるなど、適切な研究体制を整えること。
詳細は公募要領をご覧ください。
応募の対象者
本事業の応募資格者は、以下(1)~(5)の要件を満たす国内の研究機関等に所属し、かつ、主たる研究場所※1とし、応募に係る研究開発課題について、研究開発実施計画の策定や成果の取りまとめなどの責任を担う研究者(研究開発代表者)とします。
なお、特定の研究機関等に所属していない、もしくは日本国外の研究機関等に所属している研究者にあっては、研究開発代表者として採択された場合、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、日本国内の研究機関に所属して研究を実施する体制を取ることが可能な研究者も応募できます。ただし、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、上記条件を備えていない場合、原則として、採択は取消しとなります。また、委託研究開発契約の履行能力を確認するため、審査時に、代表機関及び分担機関の営む主な事業内容、資産及び負債等財務に関する資料等の提出を求めることがあります。
(1) 以下の(A)から(H)までに掲げる研究機関等に所属していること。
(A) 国の施設等機関※2(研究開発代表者が教育職、研究職、医療職※3、福祉職※3、指定職※3又は任期付研究員である場合に限る。)
(B) 公設試験研究機関※4
(C) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学及び同附属試験研究機関等(大学共同利用機関法人も含む。)
(D) 民間企業の研究開発部門、研究所等
(E) 研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
(F) 研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号、平成26年6月13日一部改正)第2条に規定する独立行政法人及び地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条に規定する地方独立行政法人
(G) 非営利共益法人技術研究組合※5
(H) その他AMED理事長が適当と認めるもの
※1 所属する研究機関等と主たる研究場所が異なる場合は、別途御相談ください。
※2 内閣府に置かれる試験研究機関や国家行政組織法第3条第2項に規定される行政機関に置かれる試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設をいいます。
※3 病院又は研究を行う機関に所属する者に限ります。
※4 地方公共団体の附属試験研究機関等
※5 技術研究組合法(昭和36年法律第81号)に基づく技術研究組合
(2)課題が採択された場合に、課題の遂行に際し、機関の施設及び設備が使用できること。
(3)課題が採択された場合に、契約手続等の事務を行うことができること。
(4)課題が採択された場合に、本事業実施により発生する知的財産権(特許、著作権等を含む。)及び研究開発データの取扱いに対して、責任ある対処を行うことができること。
(5)本事業終了後も、引き続き研究開発を推進し、他の研究機関及び研究者の支援を行うことができること。
詳細は公募要領をご覧ください。