応募の概要
(1)背景
医薬品が患者に使用された際に、一定の割合で治療抵抗性獲得例や不応・効果不十分例が認められます。このような患者に対して、「併用薬による既存薬の治療効果の最大化」や「新たな治療選択肢の提供」を目指し、新規の病態発生メカニズム解明(病態生理)とそれに基づく創薬ターゲットの創出が求められています。このような研究においては、臨床試験等で開発履歴がある薬物や既承認医薬品等の多様な医療情報の解析、医薬品使用時の臨床情報に紐づいた患者検体の活用など、臨床でしか得られない情報、さらにはリアルワールドデータ、バイオバンクのオミックス情報や疫学情報等の医療ビッグデータの解析情報(臨床エビデンス)を活用した研究が有用となってきました。そこで、創薬ターゲットの枯渇が指摘される中、日本の創薬基盤の強化のため、実践を通じた新規性の高い臨床エビデンス活用アプローチの確立が期待されます。
(2)目的
研究者独自の新規性の高いアプローチにより臨床エビデンスを活用した創薬ターゲット探索を実施し、先進的な創薬ターゲットの創出を目指します。また、ターゲットバリデーションを中心とした研究を実施し、臨床応用可能な創薬ターゲットであることを確認するとともに、他の創薬ターゲットとの差異化を行うことを目指します。
成果に基づき期待される効果として、医薬品の開発過程の迅速化・効率化、臨床予測性向上に資する革新的医薬品開発の基盤構築および有効性・有用性の高い治療法開発が挙げられます。
加えて本公募課題では、若手研究者が研究開発代表者となって主体的に研究をリードする独立性・自律性が確保される課題を目指します。従来の研究手法にとらわれず、若手研究者らしい独創的な発想・視点を意欲的に取り入れ、新たな創薬ターゲット創出に向けて挑戦するとともに、研究開発課題の推進を通して、次世代の創薬を担うべき研究者としての統率力やチームビルディング力・成長性の向上を期待しています。
(3)研究費の規模等
1)研究費の規模:1 課題あたり年間10,000千円(上限)(間接経費を含まず)
2)研究実施期間:最長3年(令和5年度~令和7年度)
3)新規採択課題数:0~2課題程度
(4)応募条件等
1)事業趣旨及び公募課題の目的と合致すること。
2)以下の条件を満たす若手研究者とする。
・令和5年4月1日時点での年齢が、男性:満40歳未満(昭和58年4月2日以降に生まれた者)、女性:満43歳未満(昭和55年4月2日以降に生まれた者)、又は博士号取得後10年未満の者。産前・産後休業又は育児休業をとった者は、その日数を加算できる。
・令和5年4月1日時点で博士等の学位を有する者又はこれと同程度の研究能力があると認められる者。医師(日本の医師免許取得者)については、博士の学位の有無に関わらず医学部卒業後2年以上を経過した者。
・当該事業の研究グループ等参加期間中、他の職を主たる職としない者。
研究開発分担者・参加者が若手研究者である必要はないが、若手育成枠であることを理解し研究開発代表者が主体性を確保できるよう、所属機関の協力・支援体制を整えること。
3)医薬品の治験データ、患者検体から得られた医療情報、リアルワールドデータ、バイオバンクのオミックス情報や疫学情報等の医療ビッグデータを含む臨床エビデンスの活用・解析プロセスで、また創薬ターゲットの探索・同定・バリデーション・既存標的との差異化のプロセスにおいて、新規のアプローチを選択している、類例のない工夫を凝らしている等、本公募課題での提案としての特徴付けが明確であること。
4)新しい視点に基づいた挑戦的な研究開発課題の提案を求めますので、従来・先行技術が十分でない点を明示し、若手研究者らしい独自の着想や独創的な手法について、従来技術と対比した上での先進性や差異化点を示し、提案すること。
5)既知の薬効メカニズムに係る研究や新たに臨床試験を開始するものではないこと。また、単なるドラッグリポジショニングに係る研究でないこと。
6)見いだされた創薬ターゲットの病態発生メカニズムにおける意味付けを明確に出来る生物学的評価方法について臨床外挿性も踏まえた妥当性も含めて明示すること。ただし、若手研究者も臨床外挿性を意識した評価方法の明示が望まれますが、応募時点で解決方法を明確化することは一定の難しさがあることから、独創性や斬新性を有する創薬デザイン技術の有用性を明確化する構想や研究プロセスなど、道筋を明らかにすること。
7)異分野融合を推奨しますが、共同研究の構想が明確であれば、共同研究機関が応募時に未確定であっても差し支えありません。
詳細は公募要領をご覧ください。
応募の対象者
本事業の応募資格者は、以下(1)~(5)の要件を満たす国内の研究機関等に所属し、かつ、主たる研究場所※1とし、応募に係る研究開発課題について、研究開発実施計画の策定や成果の取りまとめなどの責任を担う研究者(研究開発代表者)とします。
なお、特定の研究機関等に所属していない、もしくは日本国外の研究機関等に所属している研究者にあっては、研究開発代表者として採択された場合、契約締結日までに、日本国内の研究機関に所属して研究を実施する体制を取ることが可能な研究者も応募できます。ただし、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、上記条件を備えていない場合、原則として、採択は取消しとなります。また、委託研究開発契約の履行能力を確認するため、審査時に、代表機関及び分担機関の営む主な事業内容、資産及び負債等財務に関する資料等の提出を求めることがあります。
(1) 以下の(A)から(H)までに掲げる研究機関等に所属していること。
(A) 国の施設等機関※2(研究開発代表者が教育職、研究職、医療職※3、福祉職※3、指定職※3又は任期付研究員である場合に限る。)
(B) 公設試験研究機関※4
(C) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学及び同附属試験研究機関等(大学共同利用機関法人も含む。)
(D) 民間企業の研究開発部門、研究所等
(E) 研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
(F) 研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号、平成26年6月13日一部改正)第2条に規定する独立行政法人及び地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条に規定する地方独立行政法人
(G) 非営利共益法人技術研究組合※5
(H) その他AMED理事長が適当と認めるもの
※1 所属する研究機関等と主たる研究場所が異なる場合は、別途御相談ください。
※2 内閣府に置かれる試験研究機関や国家行政組織法第3条第2項に規定される行政機関に置かれる試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設をいいます。
※3 病院又は研究を行う機関に所属する者に限ります。
※4 地方公共団体の附属試験研究機関等
※5 技術研究組合法(昭和36年法律第81号)に基づく技術研究組合
(2) 課題が採択された場合に、課題の遂行に際し、機関の施設及び設備が使用できること。
(3) 課題が採択された場合に、契約手続等の事務を行うことができること。
(4) 課題が採択された場合に、本事業実施により発生する知的財産権(特許、著作権等を含む。)及び研究開発データの取扱いに対して、責任ある対処を行うことができること。
(5) 本事業終了後も、引き続き研究開発を推進し、他の研究機関及び研究者の支援を行うことができること。
詳細は公募要領をご覧ください。