応募の概要
(1)背景
近年、脂質ナノ粒子(LNP)を用いた核酸医薬品が承認され、mRNA ワクチンの実用化が現実のものとなりました。その際、DDS(Drug Delivery System)技術を活用することで、これまで課題となっていた生体内で不安定な核酸医薬を細胞に送達し、高い効果を発揮できるようしたことは、mRNAワクチンの実用化を推進した要素の一つです。このように、様々なモダリティにDDS技術を組み合わせることで、有用性をさらに高めることが期待されています。さらに、ペプチド(中分子)薬、抗体医薬を含む蛋白質医薬、核酸医薬など、多様なモダリティ創出研究が加速するとともに、有望なシーズの医薬品開発に向けたDDS技術活用も進んできています。また、有望なモダリティを医薬品開発に進めるためには、標的部位(臓器、組織、細胞等)へ効率的に送達させて有効性向上を図るだけでなく、高い安全性の確保や医療ニーズを反映した適切な投与経路設計も期待されています。
そこで、本事業では、有望なシーズの革新的医薬品開発に向けて、薬物動態上の課題をオンデマンドに対応するため、令和3年度に、①送達技術開発と②薬物動態評価技術開発に係る研究開発課題を公募し、アカデミア創薬へのDDS技術活用の中核とすべくDDS評価研究体制を構築してきました。このDDS評価研究体制を活用したシーズ研究開発の取り組み事例として、第32回健康・医療戦略推進専門調査会(令和4年6月14日開催)の配付資料:資料3の8頁に記載されています。
DDS評価研究体制の研究開発課題は公募要領の一覧表の通りです。その技術概要は、別添資料「送達技術/薬物動態評価技術の概要紹介」及び公募情報サイトでの紹介動画にて確認できます。
(2)目的
本公募課題では、医薬品開発を目指す有望なシーズを募り、DDS評価研究体制研究開発課題一覧表に示す①送達技術開発に係る研究開発課題の研究開発研究者並びに②薬物動態評価技術開発に係る研究開発課題の研究開発研究者と研究連携体制を構築し、薬物動態に関わる医薬品開発上の課題を解決し、日本発の革新的医薬品の実用化に向けたシーズ研究開発を目指します。
なお、DDS評価研究を活用したシーズ開発を最適化するため、必要に応じてDDS評価研究チームと意見交換を行うことがあります。さらに、AMED-FLuXの企業有識者や製薬協関係者等と将来の医薬品シーズ導出に向けた意見交換を通して支援を行うとともに、ガイドライン策定等のレギュラトリーサイエンス研究にも活かされるよう連携を推進することを予定しています。
(3)研究費の規模等
1)研究費の規模:1 課題あたり年間20,000千円(上限)(間接経費を含まず)
2)研究実施期間:最長2年 (令和5年度~令和6年度)
3)新規採択課題数:0~5課題程度
(4)応募条件等
1)事業趣旨及び公募課題の目的と合致すること。
2)応募時に、連携を希望する送達技術開発/薬物動態技術開発の研究開発課題を1つ以上明記(複数可)すること。なお、活用可能な研究開発課題については、別添資料「送達技術/薬物動態評価技術の概要紹介」及び公募情報サイトの紹介動画において技術概要を確認し、連携について検討ください。
ただし、採択決定後に、連携対応について、評価結果及び送達技術開発/薬物動態技術開発の研究開発側の対応可能性も踏まえ、他のDDS評価研究課題との連携可能性を調整し、AMEDから課題提案代表者に追加連携の提案を行うことがあります。
3)本研究開発課題は、シーズの送達性や薬物動態における課題解決を目指すものであることを留意し、シーズ開発を新たに開始・展開するものではなく、提供するシーズについて、妥当性や最適化を実証した背景データを既に取得し、採択後に連携研究が速やかに着手できること。
4)シーズの特性(モダリティ、その特性、対象疾患、標的部位(臓器、組織、細胞等)、有効性に関わる生物学的特性など)を明確に提示すること。さらに、送達技術および薬物動態のDDS評価研究研究課題との連携に向けて、送達技術上及び薬物動態評価上の課題点や要望が整理され、研究開発期間内に達成を目指す成果目標が明確であること。
5)シーズの有用性が評価できる生物学的評価法が提案時に整っており、その妥当性も含めて提示すること。また、本研究開発課題終了時、想定していた送達技術および薬物動態における問題点・課題がDDS評価研究により解決したことを、生物学的評価法を用いて検証し、非臨床POCの獲得を目指す計画であること。
6)連携にあたっては、送達技術開発及び薬物動態評価技術開発の研究者側に必要なシーズ(候補物質)を提供できること。
詳細は公募要領をご覧ください。
応募の対象者
本事業の応募資格者は、以下(1)~(5)の要件を満たす国内の研究機関等に所属し、かつ、主たる研究場所※1とし、応募に係る研究開発課題について、研究開発実施計画の策定や成果の取りまとめなどの責任を担う研究者(研究開発代表者)とします。
なお、特定の研究機関等に所属していない、もしくは日本国外の研究機関等に所属している研究者にあっては、研究開発代表者として採択された場合、契約締結日までに、日本国内の研究機関に所属して研究を実施する体制を取ることが可能な研究者も応募できます。ただし、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、上記条件を備えていない場合、原則として、採択は取消しとなります。また、委託研究開発契約の履行能力を確認するため、審査時に、代表機関及び分担機関の営む主な事業内容、資産及び負債等財務に関する資料等の提出を求めることがあります。
(1) 以下の(A)から(H)までに掲げる研究機関等に所属していること。
(A) 国の施設等機関※2(研究開発代表者が教育職、研究職、医療職※3、福祉職※3、指定職※3又は任期付研究員である場合に限る。)
(B) 公設試験研究機関※4
(C) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学及び同附属試験研究機関等(大学共同利用機関法人も含む。)
(D) 民間企業の研究開発部門、研究所等
(E) 研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
(F) 研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号、平成26年6月13日一部改正)第2条に規定する独立行政法人及び地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条に規定する地方独立行政法人
(G) 非営利共益法人技術研究組合※5
(H) その他AMED理事長が適当と認めるもの
※1 所属する研究機関等と主たる研究場所が異なる場合は、別途御相談ください。
※2 内閣府に置かれる試験研究機関や国家行政組織法第3条第2項に規定される行政機関に置かれる試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設をいいます。
※3 病院又は研究を行う機関に所属する者に限ります。
※4 地方公共団体の附属試験研究機関等
※5 技術研究組合法(昭和36年法律第81号)に基づく技術研究組合
(2) 課題が採択された場合に、課題の遂行に際し、機関の施設及び設備が使用できること。
(3) 課題が採択された場合に、契約手続等の事務を行うことができること。
(4) 課題が採択された場合に、本事業実施により発生する知的財産権(特許、著作権等を含む。)及び研究開発データの取扱いに対して、責任ある対処を行うことができること。
(5) 本事業終了後も、引き続き研究開発を推進し、他の研究機関及び研究者の支援を行うことができること。
詳細は公募要領をご覧ください。