応募の概要
(1)背景
医薬品の開発や製造コスト低減が求められる中、新たな創薬技術として、既存の抗体医薬品等に置き換わる作用をもつ低分子医薬品等の研究開発が求められています。それら低分子医薬品等の研究開発においては、急速な進歩を遂げている生物学的・計算科学的データ解析手法を基にした革新的なスクリーニング技術と分子設計技術の開発が必要と考えられます。
世界的な医薬品市場において、抗体医薬品等のバイオ医薬品は、有効性等の優位性が非常に高いことから、主導的なブロックバスターとして位置づけられ、開発品目数が増大する成長領域となっています。その一方で、低分子医薬品に比べて、バイオ医薬品創薬では微生物や細胞等を用いる高度・複雑な製造技術の実装を必要とし、製造設備等への膨大な初期投資も必要となり、バイオ医薬品の生産費用が高額となることから、薬剤費用の高騰が避けられず、患者の経済的負担の増加や社会保障費の増大を導く問題点が指摘されています。
(2)目的
本公募課題では、国内のメディシナルケミストの蓄積された経験や知識および低分子医薬品の生産設備等を有効かつ最大限に利活用し、伝統的な低分子創薬が抱える限界を突破して、バイオ医薬品と等価と見なせるような新世代の低分子医薬品における製造コストを抑えて創製するための基盤技術等の創出を目指します。成果に基づき期待される効果として、バイオ医薬品に関わる課題の解消や、臨床外挿性の高い革新的な低分子医薬品創出の実現が挙げられます。
例えば、抗体医薬品のエピトープ構造に基づく有効性の高い低分子への変換手法や、新規の機能あるいは前例のない特性等を付加した有望な有機分子の設計等が想定されます。ただしこれらは一例であり、公募対象を限定するものではありません。
(3)研究費の規模等
1)研究費の規模:1 課題あたり年間20,000千円(上限)(間接経費を含まず)
2)研究実施期間:最長3年 (令和5年度~令和7年度)
3)新規採択課題数:0~2課題程度
(4)応募条件等
1)事業趣旨及び公募課題の目的と合致すること。
2)低分子医薬品の創薬力や生産設備を有効に利活用できる、バイオ医薬品を置き換える低分子医薬品を実現できる等、本公募課題での提案としての特徴付けが明確であること。
3)新しい視点に基づいた挑戦的な研究開発課題の提案を求めますので、従来・先行技術が十分でない点を明示し、独自の着想や独創的な創薬デザイン技術について、従来技術と対比した上での先進性や差異化点を示し、提案すること。
4)対象とする疾患や疾患群を限定する必要はありませんが、提案する創薬デザイン技術の特性や有益性を裏付ける方法として、想定する疾患領域での課題と解決策を提示すること。さらに、候補化合物の有用性を評価する生物学的評価方法について、臨床外挿性も踏まえた妥当性も含めて明示すること。
5)研究終了後に新たな研究開発課題提案に展開することも含めて、将来の革新的医薬品の研究開発に実装するための具体的な道筋を明らかにすること。
6)本公募課題の目的を実現するため、研究開発提案者とは異なる分野の研究開発分担者あるいは研究開発協力者を設けるなど、適切な研究体制を整えること。
詳細は公募要領をご覧ください。
応募の対象者
本事業の応募資格者は、以下(1)~(5)の要件を満たす国内の研究機関等に所属し、かつ、主たる研究場所※1とし、応募に係る研究開発課題について、研究開発実施計画の策定や成果の取りまとめなどの責任を担う研究者(研究開発代表者)とします。
なお、特定の研究機関等に所属していない、もしくは日本国外の研究機関等に所属している研究者にあっては、研究開発代表者として採択された場合、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、日本国内の研究機関に所属して研究を実施する体制を取ることが可能な研究者も応募できます。ただし、契約締結日又はAMEDの指定する日までに、上記条件を備えていない場合、原則として、採択は取消しとなります。また、委託研究開発契約の履行能力を確認するため、審査時に、代表機関及び分担機関の営む主な事業内容、資産及び負債等財務に関する資料等の提出を求めることがあります。
(1) 以下の(A)から(H)までに掲げる研究機関等に所属していること。
(A) 国の施設等機関※2(研究開発代表者が教育職、研究職、医療職※3、福祉職※3、指定職※3又は任期付研究員である場合に限る。)
(B) 公設試験研究機関※4
(C) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学及び同附属試験研究機関等(大学共同利用機関法人も含む。)
(D) 民間企業の研究開発部門、研究所等
(E) 研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
(F) 研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号、平成26年6月13日一部改正)第2条に規定する独立行政法人及び地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条に規定する地方独立行政法人
(G) 非営利共益法人技術研究組合※5
(H) その他AMED理事長が適当と認めるもの
※1 所属する研究機関等と主たる研究場所が異なる場合は、別途御相談ください。
※2 内閣府に置かれる試験研究機関や国家行政組織法第3条第2項に規定される行政機関に置かれる試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設をいいます。
※3 病院又は研究を行う機関に所属する者に限ります。
※4 地方公共団体の附属試験研究機関等
※5 技術研究組合法(昭和36年法律第81号)に基づく技術研究組合
(2)課題が採択された場合に、課題の遂行に際し、機関の施設及び設備が使用できること。
(3)課題が採択された場合に、契約手続等の事務を行うことができること。
(4)課題が採択された場合に、本事業実施により発生する知的財産権(特許、著作権等を含む。)及び研究開発データの取扱いに対して、責任ある対処を行うことができること。
(5)本事業終了後も、引き続き研究開発を推進し、他の研究機関及び研究者の支援を行うことができること。
詳細は公募要領をご覧ください。