応募の概要
本事業では、「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する基本計画」※1改定(令和4年5月31日閣議決定、以下「基本計画」 という。) 等に基づき、基本計画に定められている重点5分野を意識した革新的・独創的で多様な技術シーズの基礎・応用研究開発を支援します。また、研究開発の初期段階から実用化に必要なコンサルティングを行い、基礎から実用化までの研究開発が切れ目なく行われるよう、AMED の他の事業との連携のもと医療機器・システム開発を推進し、早期の実用化を目指します。
本事業の目的は、アカデミア、企業及び臨床医の連携を通じて、研究者が持つ独創的な技術シーズを活用した、「新しい」予防、計測、診断、治療を可能とする革新的な医療機器・システムの開発です。開発した医療機器・システムは製造販売企業へ導出して実用化を図るとともに、世界の医療の革新のために、米国等の先進国を含む海外市場への展開を見据えることとします。
本事業の開発対象は、医療機器としての診断機器、治療機器、予防的介入を目的とした機器等です。
本事業の中で、3つの研究領域を設定し、公募を実施します。
「開発実践タイプ」:
要素技術の原理検証し、開発する医療機器・システムのコンセプト及び性能を決定する原理検証フェーズ(1~2年度目)、医療現場等のニーズを満たしたプロトタイプ機の完成を行う要求仕様決定フェーズ(3年度目)からなる支援を行う
「チャレンジタイプ」:
男性若手研究者や女性研究者(年齢制限なし)に、医療機器開発の理論習得と実践の機会を提供し、この分野の開発実務研究者における人材の層の拡大を図るために、アカデミアと企業の連携から基礎研究の活動によって医療の質の向上に大きな変化をもたらしうる潜在的に優れた医療機器シーズ支援を行う
「医療機器事業化・実用化支援機関」:
研究開発の初期段階から、国際展開も見据えた事業戦略、知財戦略、許認可戦略など実用化に必要なコンサルティング、企業マッチングを実施することにより、研究課題の推進と人材育成を担う
本公募は、前述の3つの研究領域のうち「医療機器事業化・実用化支援機関」の公募です。
我が国の医療分野における産学連携の課題の一つとして、アカデミアと企業の双方の認識のすれ違いが挙げられます。例えば、アカデミア側には、企業の研究への理解不足から、企業が求めるデータの内容や質、研究が進んだ段階での開発の方向性が、本来の研究目的と乖離することがあるとの認識があります。一方、企業側には、知的財産、レギュラトリーサイエンス、製造販売といった事業化へ向けた検討が必要なアカデミア側の検討が不十分であるとの認識があります。このため研究開発に着手する段階から双方の認識を共有し、取り組みの方向性を一致させるべく、アカデミア発のシーズを企業による実用化に繋げていくための新たな仕組みを検討することが求められます。
また、医療機器の研究開発においては、最終製品のイメージ(使用目的や使用方法、その課題等)が具体的でないまま試作機の製作に注力した結果、設計見直しの繰り返し等に時間や資金を費やし開発が先に進まない事例が散見されます。このような状況に陥らないようにするため、試作機製作の前段階より、企業での開発経験を有する者に事業化の視点で助言を受けつつ、市場調査や知的財産調査、薬機法調査、保険関係調査、コンセプト立案及びビジネスモデルの検討等を実施することが重要です。そのため、初期段階から実用化を見据えて研究開発を方向づけるため、全ての研究開発フェーズにわたって、事業戦略、知的財産戦略、法規制対応、販売戦略などの実用化に必要なコンサルティングをきめ細かく実施する体制を整備すべきです。その際には、多種多様な医療機器の各特性に応じた指導・助言に加え、課題参画者間の事業化に向けた共通認識作りも重要です。
したがって、医療機器開発に対する最初のフェーズの「医療機器等研究成果展開事業」※2においても、独創的な技術シーズを新たな重点分野における革新的な医療機器・システムに繋げる成果を創出することを目指して、初期段階から、専門コンサルタントによる対面助言(伴走コンサル)、企業マッチング等を行い、開発実践タイプ及びチャレンジタイプの支援対象課題に対し必要な支援を切れ目なく行うため、当該支援を実施可能な委託研究開発機関を公募します。