応募の概要
(目標)
保健医療分野において医療の質の向上や均てん化、働き方改革等の観点からAIの開発が進められているところであるが、開発されたAIを効率的に社会実装していく方法として、クラウド環境におかれたAIサービス(以下、AIクラウドサービス)を医療現場等に提供することが考えられる。保健医療分野AI開発加速コンソーシアムでは、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)におけるAIホスピタルの取組が議論され、開発されたAIのクラウド環境での提供が推奨された一方で、安全にオンラインで利用していくルールについて検討していく必要があるとの指摘があった。
近年のランサムウェアによるサイバー攻撃はインターネットVPNの環境を狙ったものが多いが、現状の診療所等の医療機関のネットワーク環境はインターネットVPNを介したものが多く、上記のようなクラウド上のAIサービスを利用するためには安心・安全なネットワーク環境の整備が必要である。
他方で、AIの社会実装の観点ではネットワーク環境も含めた導入コストをできるだけ抑えることも求められる。
これらを踏まえ、本研究では、AIクラウドサービスの利用を想定した、安心・安全なネットワーク環境のモデルを提言し、安全性や導入コスト等を検証することを目的とする。なお、安心・安全なネットワーク環境の整備にあたっては、暗号化ソフトなどのハード面による対応と、定期的なセキュリティ監査などのソフト面による対応の両方が求められる。
また、AIクラウドサービスを社会実装する上でサイバーセキュリティ以外にも様々な課題が想定されることから、それらの課題を抽出するとともに、その対応方策の検討を行うことも目的とする。
(求められる成果)
・ 病院、診療所等の規模別の外部ネットワークとの接続環境の実態調査の結果。
・ 上記の実態調査に基づいた、診療所等の医療機関がAIクラウドサービスを利用する場合の、サイバー攻撃に対して安心・安全で、導入コストが少なく、広く普及可能なネットワーク環境のモデルの提言と実証。
・ AIクラウドサービスの利用を想定した、医療機関等において必要かつ実運用可能なサイバーセキュリティ監査の方法の提言。
・ AIクラウドサービスを提供する上での課題の抽出とその対応方策の検討。