応募の概要
(1) 背景
近年、インターネットの活用が国民の生活の一部へと成長を遂げてきた状況においてSNS 等を用いた個人または特定の組織による情報発信が日常化しています。このような状況下において、我が国の生活の中で、「ディスインフォメーション(偽情報)」と呼ばれるような信憑性に欠けた情報がインターネット上に流布されることにより社会へ影響を及ぼすような事例が増加しています。現状、これらの事例への対処については、一部において議論や研究開発が実施されているものの、抜本的な技術の体系化はなされていない状況にあります。
(2) 目的
今後も一層の拡大が懸念される偽情報に対して、安定的で自律的な経済活動を維持するための基盤を強化します。また、当該技術に係る世界的ニーズが高まる中、獲得した技術を新産業創出及び国際競争力強化に繋げ、我が国の不可欠性、優位性の向上を目指します。
(3) 事業内容
研究開発項目①「要件定義」
偽情報分析に係る最新の技術動向、公的機関や民間企業におけるユースケースを調査し、本事業で対象とするユースケースを特定し、それぞれのユースケースにおいて偽情報の真偽性の判定及び偽情報による脅威の評価に資するために必要となる機能を抽出・整理します。
その上で、必要に応じ、各研究開発項目への反映や、開発内容の見直しを行います。
さらに、上記調査にあたっては、国際的な会議等において情報収集を行い、海外も含め可能な限り最新の動向を把握することとします。
なお、開発を優先すべき重要な要素技術(研究開発項目②~④)については、研究開発項目①の実施と並行し、関係府省庁とも調整の上、先行的に研究開発を進めることとします。
研究開発項目②「偽情報検知技術」
本研究においては以下の内容に対する技術開発及び検証/評価を行います。
・ SNS 等のインターネット上に公開されている様々な種類の情報を対象とし、情報を構成する文章、画像、動画等を総合的に分析し、作為性を判定する技術を開発します。
・ 情報の組合せ等による事実の歪曲や、情報の加工の高度化への対応を想定し、対象とした情報に付随する時刻情報や地域情報、発信者等の客観的事実(エンドースメント)の関連性に基づき、情報の真偽性の判定に資する要素技術を開発します。
・ なお、上記の二つに関する技術については、常に最新の技術動向を把握し、必要に応じて研究内容に反映することとします。
研究開発項目③「偽情報評価技術」
偽情報に対する対処の判断を支援するため、情報の受け取り手の反応や発信元の情報等を収集・分析することにより、当該情報に対する社会的影響等を定量化する指標を抽出・整理及び可視化し、脅威評価に資する要素技術を開発します。
研究開発項目④「偽情報検知/評価システム化技術」
研究開発項目②及び③を統合し、偽情報の真偽性の判定及び偽情報による脅威の評価に資するためのシステムの設計及び構築を行います。その際には、システムがユーザにとって利便性の高いインターフェースを持つように、SNS 等のインターネット上から情報を収集する手法や、偽情報の真偽性の判定の支援の対象とする情報を絞り込むための手法も確立します。
(4) 事業期間
委託契約期間は 2025年末までの2年間を予定しています。2026 年以降の委託契約に関しては、2025年に実施するステージゲート審査の結果を踏まえて判断します。プロジェクト全体の研究開発期間(2024年~2027 年)についてご提案ください。
(5) 予算
本事業の総予算は 60 億円を超えない範囲とします。各研究開発項目、フェーズ毎の配分については、必要に応じて、経済産業省からの指導に基づき目安を示します。これを変更する場合も同様とします。
(6) 制度の推進体制
NEDO は、内閣府及び経済産業省が策定する研究開発構想(個別研究型)を踏まえ、プログラム・オフィサー(以下「PO」という)として国立大学法人東北大学の鈴木 潤氏を任命しています。POは、個別研究型の研究開発課題の選考を推進し、その進捗管理・評価等を指揮・監督します。制度の詳細やPO等の役割、研究開発の実施方法等については、運用・評価指針をご参照ください。
応募の対象者
本事業の公募では、事業全体に対する提案を想定しており、研究代表機関が必要な分担機関と共同で事業全体を実施するものとします。
応募資格のある法人は、次の(1)~(7)までの条件、運用・評価指針及び研究開発構想に示された条件を満たす、単独又は複数で受託を希望する企業等とします。
(1) 当該技術又は関連技術の研究開発の実績を有し、かつ、研究開発目標達成及び研究計画遂行に必要となる組織、人員等を有していること。
(2) 委託業務を円滑に遂行するために必要な経営基盤、資金及び設備等の十分な管理能力を有し、かつ、安全管理措置が十分とられていること。
(3) NEDOがプロジェクトを推進する上で必要とする措置を、委託契約に基づき適切に遂行できる体制を有していること。
(4) 企業等がプロジェクトに応募する場合は、当該プロジェクトの研究開発成果の実用化・事業化計画の立案とその実現について十分な能力を有していること。
(5) 研究組合、公益法人等が応募する場合は、参画する各企業等が当該プロジェクトの研究開発成果の実用化・事業化計画の立案とその実現について十分な能力を有するとともに、応募する研究組合等とそこに参画する企業等の責任と役割が明確化されていること。
(6) 複数の企業等が共同してプロジェクトに応募する場合は、実用化・事業化に向けた各企業等間の責任と役割が明確化されていること。
(7) 研究開発責任者の所属する機関は、国内に研究開発拠点を有し、日本の法律に基づく法人格を有している機関とする。また、研究開発責任者及び主たる研究分担者は日本の居住者であることとする。(ここで言う居住者とは、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)(以下「外為法」という。)の居住者(特定類型該当者を除く)であること。)