応募の概要
(1)概要
本公募課題では、アカデミアと参画企業が対象患者およびその家族の視点、医療従事者の視点、関係学会・関連業界の視点、さらに官の施策等を踏まえ、認知症克服のための社会的ニーズを明確化した上で、共有する課題とゴール(到達目標)の設定を行い(ミッションの設定)、その解決に向けて立案された研究計画を実行することを求めます。
認知症患者の7割近くを占めるとされるアルツハイマー型認知症、および軽度認知障害を主たる症状とする疾患を対象とした研究開発課題の提案を、強く推奨します。ただし、認知症克服という目標に鑑みて研究対象の狭隘化を強いるものではなく、血管性認知症、Lewy小体型認知症、前頭側頭葉変性症等による認知障害に着目した研究も対象の範囲内とします。ただし、研究開発計画において認知症克服を想定した研究開発項目が反映されていない場合は、対象外とします。
アルツハイマー病に関しては、病理組織学的に老人斑(アミロイドβの斑状蓄積)と神経原線維変化(タウの線維状凝集体)の多発が特徴であり、アミロイドβの沈着がタウ沈着に先行している最初期の病変であること、および家族性アルツハイマー病の原因遺伝子解析等を背景として、アミロイドβを重要な発症原因物質と考え、アミロイドβの沈着(あるいは沈着前の可溶性アミロイドβオリゴマーの蓄積)を起点に一連の病態が進展し、タウの異常リン酸化や神経細胞障害が誘導され認知症に至るという、アミロイド仮説が提唱されました。これまでのアルツハイマー病研究の多くが、当該仮説を中心に行われ、レカネマブを含め多くの疾患修飾薬の研究開発も、アミロイドβおよび関連分子を標的としてきました。これらの従来型研究アプローチからは、多くの価値ある実績が得られています。一方で、アルツハイマー病を背景とした認知症の病態・症状が多岐に渡りかつ経時的に変化することから、治療選択肢を強化・充実させるために、アミロイド仮説を補完し得る新たな病態メカニズム仮説や、疾患修飾薬以外の有効性の高い治療法を導くアプローチも含めて、幅広い創薬ターゲット分子に着目した研究についても、今後は一層強化・高度化していく必要があると考えられ、それに合致する研究提案を、強く期待します。
「認知症・脳神経疾患研究開発イニシアチブ」という背景、および研究成果の将来構想や波及効果、産業・社会的インパクト等の観点から、研究成果を実用化する段階で、狭義の認知症に対する治療手段の提供に限定されることなく、他の加齢性疾患を含め幅広い脳神経疾患領域における創薬研究開発や医療への展開性を示す研究提案を、強く求めます。
本公募において、特段に一般枠と若手研究者育成枠を区別して設定することはありませんが、革新的な認知症克服施策の創出を目指す意図から、若手研究者(趣旨については3.2.6を参照)が自らの独創的な発想・視点を意欲的に取り入れ、研究開発代表者として主体的に研究をリードして独立性・自律性が確保された体制で行う課題についての積極的な提案も推奨します。
内容として、あらゆる形態の医薬品モダリティ研究を対象とします。ただし、本事業が医薬品プロジェクトのもとに推進される趣旨から、医療機器の開発、および薬事規制の上で再生医療・細胞医療・遺伝子治療に分類される医薬品の開発を主目的とした提案は対象外とします。
(2)研究費の規模等
1)研究費の規模:
AMED拠出分※: 1課題当たり年間50,000千円(上限)(間接経費を含まず)
企業拠出分※: 2年目以降、1 課題あたりAMED拠出額を下回らない額(間接経費なし)
※拠出にはルールがございますので、詳細は公募要領をご確認ください。
2)研究実施期間:令和6年8月(予定)~令和10年度末(最長4年8ヶ月間)
3)新規採択課題数:0~4課題程度
※ 研究費の規模等はおおよその目安となります。研究費の規模及び新規採択課題予定数等については、今後の予算状況等により変動することがあります。
研究内容・研究費の規模等、詳細は公募要領をご覧ください。
応募の対象者
応募条件等
1) 事業趣旨及び公募課題の目的と合致すること。
2) 研究開発計画の策定にあたっては、認知症施策における患者、家族、医療従事者の視点、関係学会や関連業界の視点、さらに官の施策等を踏まえ、共生社会の実現の推進という目的に向け、取り組むべき医療アンメットニーズを明確にし、提示すること。
3) 参画企業と連携して解決または到達すべきミッションを設定し、そのミッションを遂行するための最も効果的な手順・手法(研究開発計画)を提示すること。また、Target Product Profileに匹敵する臨床での実用化像が具体的に提示され、それを実現できるための研究開発期間満了時のゴール(到達目標)が設定されていること。
4) 研究成果の将来構想や波及効果、産業・社会的インパクト等の観点から、幅広い加齢性疾患や脳神経疾患領域における創薬研究開発および医療への展開性について説明されていること。
5) 参画企業の資格要件は次のとおり。
・応募資格者(3.1)の要件を満たし、かつ医薬品研究開発ができることまたは実績があること。
6) 採択された場合は、定められた研究費を研究開始2年度目から最終年度まで拠出することを参画企業が約束しており、それを提案書類に明記していること(応募にあたっては、(別紙)同意書を添付のこと)。
7) ツール化合物を活用した場合、研究内容に創薬研究に資する新たなメカニズム解明等が含まれていること。参画企業の自社品のみの「前向き医学研究・臨床試験」で研究を立案する場合は、ミッション達成に向けた最適な手法であることの説明があること。
8) 本公募において、同じ研究開発代表者が複数課題を申請しないこと。また、 同一の研究開発代表者が他事業も含めた同様の提案研究について、参画企業を変えること等により、異なるものとして応募しないこと(同一又は同様の提案研究が複数応募された場合、公募要件を満たさないものとして、すべて採択されない)。
9) 本研開発究課題は新たな医薬品創出に対応する課題であり、単なるツール化合物の追加適応やドラッグリポジショニングを目指す研究、データベース構築を目的とした研究は対象としない。
10) 本公募においては代表機関が、アカデミア(大学または公的研究機関等)であり、すなわち応募資格者(3.1)(1) 研究機関等(A)-(F)のうち「企業」に該当する(D)以外のものであり、事業の主たる目的が利益追求でない研究機関であること。分担機関も原則としてアカデミアとし、企業に該当する研究機関は参画企業として研究体制を構成すること。
詳細は公募要領をご覧ください。