応募の概要
<目標>
2030 年に向けた持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)のゴール3には、UHC の達成が掲げられており、必須保健サービスのカバー率(指標3.8.1)及び家計における健康関連支出の負担(指標3.8.2)によってUHC 達成度合いを追跡している。特に3.8.1 指標は、4 領域(リプロダクティブヘルス関連、感染症、非感染性疾患、医療提供体制)における14 の追跡指標で構成されているものの、これらの指標が必ずしも十分に保健サービス・カバレッジを捕捉できているわけではない。また、指標3.8.1 と3.8.2 の関連についても必ずしも一定の傾向が見られるわけではなく、解釈が困難な場合もある。
現在、栄養をUHC に統合するコミットメントが東京栄養サミットで宣言されたほか、リハビリテーション(WHA76.6)、アイケア(WHA73.4)、口腔保健(WHA74.5)など、従前の14 指標だけではカバーしきれない保健関連サービスについてもUHC への統合を目指す決議案がWHO 総会で採択されている。加えて、WHO からは保健システムをモニタリングするための各種指標のフレームワークが公表されている。
さらに、SDGs 達成目標年の2030 年が迫り、ポストSDGs を見据えた国際的な議論が始
まる中、日本政府は、WHO、世界銀行と連携し、UHC に係る知見の共有や、低中所得国の
財務・保健当局の人材育成を支援する世界的な拠点である「UHC ナレッジハブ」を2025
年に日本に設立することを表明した。
こうした状況を踏まえ、本研究では、①指標3.8.1 における14 の追跡指標とWHO 決議等の国際会議の成果物とのギャップ分析、②指標3.8.1 及び3.8.2 の関係に関する分析と考察を通じて、ポストSDGs を見据えたより適切な保健サービス・カバレッジの追跡指標の提案を目的とする。
<求められる成果>
・指標3.8.1 以外の既存の保健サービスカバレッジ
指標のフレームワークの整理と分析既存の指標に関する文献調査を通じてエビデンスを整理した上で、UHC の達成の評価に適切な指標について分析を行うこと。
・従前の14 指標とWHO 決議等の国際会議の成果物とのギャップ分析
2015 年以降に採択されたWHO の決議案や主要な国際会議の成果物の中で、従前の14 指標ではカバーされていない保健関連サービスをUHC に統合する動きがあるか調査し、まとめること。
・ポストSDGs を見据えた保健サービス・カバレッジの追跡指標の提案
既存のデータベースを活用することを前提とし、上記のギャップ分析の結果も踏まえた新たな追跡指標を提案すること。
・得られた研究成果のUHC ナレッジハブでの活用
UHC ナレッジハブにおいて、収集・作成すべきデータ及び指標を、財務・保健の連携の視点も含めつつ、提案すること。