応募の概要
【事業の背景】
2022年4月の「プラスチック資源循環促進法の施行」や2023年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合(札幌)における「新たな海洋ごみによる汚染をゼロとする大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現の10年前倒し(目標達成時期:2040年)の合意」により、国内外で使用済みプラスチックの再資源化の促進と回収できずに自然界に放出される廃プラスチックによる新たな海洋ごみの削減が急務となっています。また、2023年度の環境省事業における日本の海洋プラスチックごみ流出量推計によると、海洋ごみの発生源としては漁具をはじめ長期に渡って耐久性が求められる様々なプラスチック製品が含まれており、これらの製品の使用後の再資源化や生分解素材への転換を促し、10年前倒しされた大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に資する研究開発が求められています。
【目的】
NEDOはこれまで短期間(2年以内)で生分解する海洋生分解性プラスチックに係る研究開発を行ってきましたが、新たな大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に貢献するためには、長期間の耐久性を有し長期の生分解性を想定したプラスチック製品の創出・普及に係る研究開発が必要と考えています。長期生分解性製品は社会実装、材料の置き換え等で、市場の一定の伸長が期待されますが、これらの製品を開発する上での、評価技術・標準化などは未確立のままであり、本事業では、これらの素材や製品の使用を想定した海洋生分解や加水分解を予測する生分解評価手法と、その安全性評価手法(生態毒性評価手法)を開発します。これらの評価手法をISO提案すると共に、並行して素材技術開発を進め、長期海洋生分解性プラスチックの新素材を創出し、製品の開発促進へと繋げます。
【目標】
・長期の生分解性を推測できる評価法および長期の海洋生分解を想定した生態毒性評価法を開発し、それぞれ1件以上の国際標準化提案に繋げます。
・長期海洋生分解性プラスチック製品創出のため、長期生分解性素材技術の開発、新素材の実用化開発を行うとともに、その評価法へのフィードバックを行い、実用化の目処を付けます。
【事業内容】
研究開発項目①「長期の海洋生分解性プラスチックの評価手法の開発」(委託)
実海域における数年~10年程度の加水分解や生分解による生分解性プラスチックの分解予測技術の開発、また環境流出を想定した使用後の劣化プラスチックの海洋生分解メカニズムの解明、さらに生分解過程で生成するマイクロプラスチック、オリゴマーやモノマー、中間代謝生成物の生態毒性評価法の開発等が必要であり、具体的には対象試料の調整手法(長期の生分解性素材をできる限り短期間で評価するための試料調整標準法の提案)、生分解評価手法(長期の生分解性素材の評価試験法の提案)、間接評価法(10年以上といった超長期評価試験法の提案)、広い海域をカバーするシミュレーション技術(生分解の遅い製品を想定)、生態毒性評価技術(生分解途中に生成される中間体を含めた試験法の改良提案)を行います。
これらの活動を通して、長期の海洋生分解性プラスチックの評価手法および安全性評価手法について、国際標準化提案へと繋げます。
研究開発項目②「長期生分解性プラスチックの開発とその評価法へのフィードバック」(委託)
長期の海洋生分解性プラスチックとして、想定される製品毎に求められる物性や耐久性を両立した素材の開発を行います。また、樹脂のブレンドや添加剤の付与等の要素技術を最大限活用して長期海洋生分解性プラスチックの複合化技術を開発します。同時に開発したプラスチック素材の実用化を進め、評価手法へのフィードバックを行います。これらの検討を通じて、分解反応の加速(減速)誘導メカニズムの解明、分解速度の制御の検証、樹脂の複合化による製品性能・耐久性を検証します。これらの検証により、長期の海洋生生分解性樹脂の設計と作製指針の確立を目指します。
詳細は「基本計画」及び「2025年度実施方針」を参照してください。
応募の対象者
【応募要件】
応募資格のある法人は、次の(1)~(7)までの条件、「基本計画」及び「2025 年度実施方針」に示された条件を満たす、単独又は複数で受託を希望する企業・大学等とします。なお、国立研究開発法人が応募する場合、国立研究開発法人から民間企業への再委託又は共同実施(再委託先又は共同実施先へ資金の流れがないものを除く。)は、原則認めておりませんのでご留意ください。
(1)当該技術又は関連技術の研究開発の実績を有し、かつ、研究開発目標達成及び研究計画遂行に必要となる組織、人員等を有していること。
(2)委託業務を円滑に遂行するために必要な経営基盤、資金及び設備等の十分な管理能力を有し、かつ、情報管理体制等を有していること。
(3)NEDOが事業を推進する上で必要とする措置を、委託契約に基づき適切に遂行できる体制を有していること。
(4)研究開発項目②を含む提案の場合は、将来の製品化を担う民間企業が実施体制に含まれる提案を行うこと。企業等が事業に応募する場合は、当該事業の研究開発成果の実用化・事業化計画の立案とその実現について十分な能力を有していること。
(5)研究組合、公益法人等が応募する場合は、参画する各企業等が当該事業の研究開発成果の実用化・事業化計画の立案とその実現について十分な能力を有するとともに、応募する研究組合等とそこに参画する企業等の責任と役割が明確化されていること。
(6)複数の企業等が共同して事業に応募する場合は、実用化・事業化に向けた各企業等間の責任と役割が明確化されていること。
(7)本邦の企業・大学等で日本国内に研究開発拠点を有していること。なお、国外の企業・大学等(研究機関を含む)の特別な研究開発能力、研究施設等の活用又は国際標準獲得の観点から国外の企業・大学等との連携が必要な場合は、国外の企業・大学等も参画する形で実施することができる。